シロアリ(白蟻)も一般的なクロアリと同様、社会性昆虫の一種で女王アリをトップとしたヒエラルキー集団社会を形成している生物です。職種は「女王アリ」、「働きアリ」、「兵隊アリ」の3つに分類されます。シロアリは多様性に富んだ種類が存在していますが、大きく分けて「土壌性シロアリ」と「乾材シロアリ」に分類することができます。
■土壌性シロアリ
光や乾燥した環境を苦手とし水気を好み土の中を移動しながら「蟻道」というシロアリ特有のトンネルを作ります。そして、ご家庭内に侵入し、乾いた材木を「蟻道」から運んできた水分で腐らせる(加水)ため建物に老朽化被害が生まれます。一度巣を作ると、最長10年住み着くと言われています。
■乾材シロアリ
乾燥した環境に耐性があるため、土壌性シロアリの様に「蟻道」は形成しません。しかしながら、乾いた木材を食べるため床下の木材、家具、屋根裏など、思わぬところまで広く被害が発生します。この種類のシロアリはヤドカリのように特定の場所に巣を作ることがなく、集団(コロニー)を分裂させながらコロニーを肥大化させながら勢力を拡大していく傾向があります。
■日本に生息する代表的なシロアリとその分類
イエシロアリ:土壌性シロアリ
ヤマトシロアリ: 土壌性シロアリ
ダイコクシロアリ:乾材シロアリ
タイワンシロアリ:土壌性シロアリ
アメリカカンザイシロアリ:乾材シロアリ
※シロアリはアリ科に属すと多くの方が思っておりますが、驚くことに「昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科」に属しています。つまり、生物学的に言うとゴキブリの仲間ということになります。
シロアリは蜂などと同様ピラミッド型の社会性階層身分制度の中で生きている生物の1つです。そのため、シロアリの職種によって寿命の長さも異なります。シロアリが長生きできる秘訣は、体内の細胞を傷つける「活性酵素」を抑制するためであると近年山口大学の研究グループによって発見されました。
■女王アリ
10年~20年
■働きアリ(職蟻)
2年~3年
■兵隊アリ(兵蟻)
3年~5年
参考文献:山口大学大学院 創成科学科 井内准教授 「長寿命昆虫ヤマトシロアリの生存戦略」
■イエシロアリ(土壌性シロアリ)
基本的には日本海側の海沿いに生息していますが、地球温暖化によりその生息範囲を北に拡大させています。近年では東京、茨城、栃木、群馬のような関東圏でも生存が確認されています。
■ヤマトシロアリ(土壌性シロアリ)
日本全土(北海道・沖縄等の離島も含む)
■ダイコクシロアリ(乾材シロアリ)
基本的には亜熱帯地域の沖縄県(沖縄の離島含む)、奄美大島、小笠原諸島の温暖な気候の場所に生息しています。
■タイワンシロアリ(土壌性シロアリ)
沖縄本島、特に首里城付近と八重山諸島に生息しています。
■アメリカカンザイシロアリ(乾材シロアリ)
関東地方、中部地方、関西地方、中国地方、九州地方に生息しています。
シロアリは家の材木を食べるだけではなく畳の井草、断熱材、衣類、配管などのプラスチック、電気ケーブル、昆虫の死骸と何でも食する「雑食性」です。※各シロアリの食性は下記をご覧ください。
シロアリは温度が25℃を超えてくる5月~7月頃に1年で最も活動します。
各シロアリの活動期詳細は下記をご覧ください。
シロアリは4月~7月に繫殖期を迎えます。
各シロアリの繁殖期は微妙に異なるので下記をご覧ください。
■建物被害
シロアリは建物に住みつき、家のいたるとこの材木を食料し大切な家の老朽化を促進させます。
■衛星被害
シロアリが家に棲みつくと材木が腐敗するため、多くの場合カビが発生します。そのため、一部の住居者は目の痛み、倦怠感、発疹、皮膚のかゆみ、くしゃみ等のアレルギー反応を訴えるようになります。
■健康被害
シロアリは家をも倒壊させる力を持っていることから、多くの人は「不安」を感じます。そして、その不安が行き過ぎてしまうと急性パニック障害、不安障害、うつ病などに発展しまう事例も報告されています。