基本的にコウモリは日中巣で睡眠をとり、日没前後から日の出まで空中飛翔する昼夜逆転した生活をしています。コウモリは視力が良くないため「超音波(レーダー)」を放ち、その反響してくる音(振動)を頼りに餌や物との距離感を把握しています(エコロケーション)。このシステムは車の自動運転などにも応用されたバイオミメティクス(生物模倣)技術の事例として知られています。一方、コウモリは体内に狂犬病ウィルス、リッサウィルス、未知のウィルスを保有しています。噛まれた際は、発熱、脳炎、髄膜炎、眩暈、吐き気、幻覚、意識障害等多くの症状を引き起こし、最悪の場合は死に至るケースが世界各地で報告されています。
コウモリの寿命は自然環境で4~6年、動物園等の飼育環境下では20年程度とされています。
コウモリは日本全土ほぼすべての土地に生息しています。一般的には山の洞窟内や木などに巣を作り生息していますが、近年では家の屋根裏部屋、雨戸、戸袋、排水溝、瓦下 、換気口内 、壁のすき間、エアコン室外機、給湯器などに巣を作り建物や人に甚大な被害を与えている事例が多々報告されています。
コウモリは基本的には「雑食」ですが種類によって食性は異なり、大別すると3つの大きなグループに分類することができます。
①動物の血液をエネルギー変換する吸血コウモリ
動物の血液から動物性タンパク質、グルコース、ミネラルを摂取します。吸血コウモリの唾液は「ドラキュリン」と呼ばれるデスモテプラーゼ(酵素)を含んでいるためコウモリに噛まれた動物の血液はサラサラになります。そのため、多くの場合出血多量で死に至ります。
※このような作用を引き起こすため、現在ではコウモリのデスモテプラーゼが脳卒中に有効なのではないかと新薬開発のための研究が進められています。
②昆虫、甲殻類、魚類、鳥類、爬虫類、両生類の動物性由来タンパク質をエネルギーにするコウモリ
クモ、ハエ、蛾、ヨコバイ、蚊などの昆虫、サソリ、カニなどの甲殻類、淡水に生息する魚類、小鳥などの鳥類、トカゲなどの爬虫類、カエル、イモリなどの両生類を捕食します。
➂果物や野花の植物性タンパク質やグルコース(糖)をエネルギーにするコウモリ
リンゴ、バナナ、パイナップル、パパイヤ、パッションフルーツ、アテモヤなどの果物や花の蜜、葉っぱ、花粉を捕食します。
子運中、鳥類、魚類、甲殻類、
コウモリは11月頃から3月頃まで越冬し、4月の初旬~10月末頃まで活動的になります。
コウモリの繁殖は他の生物と異なり特殊で11月~3月の冬眠中に交尾を行います。そして、冬眠中に射精した雄の精子を雌が精子貯蔵器官「受精嚢」に貯蓄したまま越冬・夏を迎え7月頃に発情期を迎え保存していた精子を受精させ1回の出産で2、3匹生みます。約90日の子育てを経て、子コウモリは一人前になり巣立っていきます。
※このような雄の精子を保存しておく生物学的システムは身近な蟻や蜂にも見られます。
■身体的被害:触ったり、噛まれたりした場合、ウィルスが体内に侵入すると最悪死に至るケースが世界各国で報告されています。
■騒音被害:日没から日の出にかけて「バサバサ」と羽音がしたり、「キイキイ」という高い音が聞こえたりする騒音被害が見られます。
■悪臭被害:屋根裏などで大量の糞尿をするため、悪臭が漂います。
■衛星被害:コウモリにはダニやノミが多く寄生しているため、コウモリが棲みつくと多くの場合ダニやノミが屋内で大量発生します。
■建物老朽化被害:コウモリが棲みつくと大量の糞尿をするため、建物にシミができ最終的に腐るケースが多く見られます。
コウモリは「鳥獣保護管理法」という法律で保護された生物ですのでみだりに殺処分したり、怪我を負わすと1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。そのため、自分で駆除を行う際は追い出し、その後忌避する対策しかありません。