ハチは蟻(アリ)と同様に社会性昆虫の1種であり、「女王蜂」を中心としたヒエラルキー(カースト)社会を形成しています。始めに女王蜂1匹で巣を形成し、その後1日約1,000卵程度の卵を産み続け多くの「働き蜂」を誕生させます。そして2~3月の期間を経て大きなコロニー(蜂群)へと成長し、一般的に皆さんがよく見かける蜂の巣が形成されます。ハチ社会では驚くべきことに働き蜂が全てメスで構成されています。雄蜂は女王蜂の交尾し子孫を残すためのみに生まれてきます。また、女王蜂はお腹の中にオスの精子を蓄える器官があり、1度の交尾で数カ月間産卵することができます。さらに、ハチ自体は植物の受粉に関わっているため生態系保持に大きな役割を担っています。お勧めしませんが、どうしてもご自分で蜂の巣駆除を行う際は、外で活動しているハチが巣に戻ってくる17時から19時、かつ蜂の活性が低くなる雨の日を狙って駆除してください。その際は必ず防護服と駆除スプレーを用意しておくことを強くおすすめします。また、駆除の際は蜂の巣の入口に殺虫スプレーを30~60秒程度噴射し続けて下さい。始めは中から一部のハチがでてきますが、焦らずそのまま噴射し続けましょう。
〇注意
蜂は黒くて動きのあるものを敵と認識する傾向があります。また、非常に匂いに敏感なため化学合成された化粧品、香水等に寄ってきます。そのため、山登り、キャンプ、ハイキング、森林・庭の手入れをする際はこれらの不安要素を省くことが賢明な判断でしょう。
■スズメバチ
・オオスズメバチ
・キイロスズメバチ
・モンスズメバチ
・チャイロスズメバチ
・コガタスズメバチ
・ヒメスズメバチ
・クロスズメバチ
・シダクロスズメバチ
・ヤドリスズメバチ
・キアシナガバチ
・コアシナガバチ
■アシナガバチ
・セグロアシナガバチ
・フタモンアシナガバチ
・キアシナガバチ
・コアシナガバチ
・トガリフタモンアシナガバチ
・ヤマトアシナガバチ
・キボシアシナガバチ
・ヒメホソアシナガバチ
・ムモンホソアシナガバチ
・オキナワチビアシナガバチ
・ナンヨウチビアシナガバチ
■ミツバチ
・クマバチ(キムネクマバチ)
・キオビツヤハナバチ
・タイワンタケクマバチ
・ダイミョウキマダラハナバチ
・スジボソフトハナバチ
・ニッポンヒゲナガハナバチ
・ルリモンハナバチ
・ニホンミツバチ
・セイヨウミツバチ
・クロマルハナバチ
・トラマルハナバチ
■スズメバチ
・女王蜂:1~3年
・働き蜂・兵隊蜂:1~2か月
■アシナガバチ
・女王蜂:1年~1.5年
・働き蜂・兵隊蜂:1.5~2か月
■ミツバチ
・女王蜂:2年~3年
・働き蜂・兵隊蜂:1か月
■生息分布
◎スズメバチ
・北海道から沖縄までの森林、雑木林、田園、都市部
◎アシナガバチ
・北海道から沖縄までの山間部、雑木林、市街地、都市部
◎ミツバチ
・北海道から沖縄までの草原、山間部、川沿い、野原、畑、空き地
■生息地
・生垣・庭木の中
・軒下・屋根
・バルコニー
・玄関
・窓付近
・エアコンの換気扇
■スズメバチ
・樹液、果実、花蜜、昆虫(蝶、トンボ、ハエ、クモ、カマキリ、コガネムシ)
■アシナガバチ
・昆虫類(毛虫、イモムシ、アオムシ)、花蜜、樹液
※昆虫類を団子状態に磨り潰し巣に持ち帰る。
■ミツバチ
・ハチミツ、花蜜、花粉、自己生成したロイヤルゼリー
※【共通】女王蜂は餌がない場合共食いをして生存します。
■スズメバチ
・4月~11月 (攻撃性が高い時期:6月~10月)
■アシナガバチ
・6月~11月 (攻撃性が高い時期:7月~8月)
■ミツバチ
・1月~12月 (攻撃性が高い時期:2月~3月、10月~11月)
すべてのハチにおいて、7月から10月は翌年の女王蜂出産(遺伝子の継承)を行う大事な時期のため、蜂は獰猛になり攻撃性が高くなるため注意が必要です。11月~3月までは冬眠しながら越冬し、春先から7月までは新しい巣作りに忙しいためあまり人を襲うことはありません。稀に分蜂(分蜂)と呼ばれる数百匹のハチが集まりコロニーを形成していることがありますが、これは新女王バチの誕生で新しい巣を作る準備段階にある状態です。見た目は悍ましいですが、蜂自体から攻撃することはないのでそっとしておきましょう。
ハチの毒には、アミン類のアセチルコリン、ヒスタミン、低分子ペプチドのメラノトキシンなどが含まれています。ハチの毒が血中に流れるとは、痛みや腫れが生じることが一般的です。また、一部の人にはアレルギー反応を引き起こすことがあり、アナフィラキシーショックと呼ばれる症状を引き起こす場合もあります。
メラノトキシンは、主に腫れや炎症を引き起こす作用があります。ヒスタミンは、痛みやかゆみを引き起こす作用があり、アセチルコリンは、筋肉を刺激する作用があります。これらの成分は、ハチによって注入されるため、ハチに刺された場合に、体内に影響を及ぼすことになります。
ハチの毒の量は、ハチの種類や体格によって異なります。一般的に、スズメバチやアシナガバチの毒は、ハチの毒よりも強いとされています。
■アミン類の成分
・セロトニン
・ヒスタミン
・アセチルコリン
・カテコールアミン
・ポリアミン
■低分子ペプチドの成分
・MCDペプチド
・マストパラン
・ハチ毒キニン
・メリチン
・アパミン
・メラノトキシン
■酵素類の主成分
・プロテアーゼ
・アンチゲン
・ヒアルウロニターゼ

■身体的被害
蜂に刺されるとアナフィラキシーショックを起こすことが毎年報告されており、意識障害やかゆみ、腫れなどの皮膚症状、最悪の場合死に至ります。
■心理的被害
ハチは2度刺されると死ぬこととがあると昔から言われてる通り、1度刺されるとアウトドアで癇癪、ひきつけ等の不安や恐怖に襲われるようになります。
■経済的被害
蜂の巣が形成されると、多くの場合業者に依頼するのでコストがかかります。